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旧親不知トンネル見学 2024年10月見学

アシヲヂ / ashiwodi

明治期に作られたレンガトンネルの遺構を見学してきました。新潟県

【遺構の景】2024年10月見学
親不知地区は北アルプスの北端が日本海に落ち込む箇所で、北陸街道随一の難所として知られています。ここに鉄道を通すにあたっては断崖の中腹にルートをとり、急沢部には橋梁を架け、断崖部はトンネルを掘ることで厳しい地形を克服しています。
旧親不知トンネルは、旧国鉄北陸本線の市振~親不知間旧線上に存在する、100年以上も前にできたトンネルです。トンネルの起工は1907年、開通は1912/10/15、廃線は1965/09/30です。全長は667.82m、幅員4.572m、高さ4.700mの「鉄作乙第4375号型断面」で、碓氷峠の信越本線旧線トンネルと同じ断面です。明治期に築造されたトンネルとあって覆工素材はレンガとなっています。標準断面の巻厚は4枚巻で、糸魚川方坑口では4枚巻ですが、富山方坑口では5枚巻となっています。おそらく親不知地区の不安定な地質を考慮して一部5枚巻となったものと思われます。
旧親不知トンネルは「明治後期に天険親不知の断崖絶壁を貫通させた総煉瓦造りのトンネルで、当時の土木技術を後世に伝える貴重な土木遺産」ということで平成26年度選奨土木遺産に選定され、「親不知コミュニティロード」とともに周遊することができるようになっています。
開通当時は先人たちの苦労を解消した交通路の一つでした。しかし時代の発展とともに交通技術も発展していき逆に隘路となってしまったことから、抜本的対策として電化複線に移行しこの区間は放棄されました。見学時の2024年時点ですでに現役期間より廃線となってからの期間の方が長くなってしまいましたが、親不知地区の交通の変遷を伝える証言者として今も存在感を放っています。