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JR九州鹿児島本線の特殊自動閉塞区間を見に行ってみた。 2024年1月見学

アシヲヂ / ashiwodi

鹿児島本線:銀水~大牟田間・長洲~木葉間 輸送量と線路容量のバランスをとった結果。熊本県

【小ネタの景】2024年1月見学
先日のエックス(旧ツイッター)で「銀水~大牟田間が特殊自動閉塞化された」という投稿を目にしました。最初は「とうとう単線化されたか」と思いましたが、よくよく読み進めていくとどうやら複線のまま特殊自動閉塞方式になった模様。そして長洲~木葉間については2023年11月にはすでに切り替えられていたようです。
そもそも鹿児島本線の閉塞方式は、肥薩おれんじ鉄道線となった区間を含め全線自動閉塞方式でした。自動閉塞方式は、前の駅の出発信号機と次の駅の場内信号機との間を任意の閉塞区間に分け全区間において軌道回路を通して列車の在線を検知している方式で、列車を数分間隔で続行で運転できるようなっています。対して特殊自動閉塞方式は、前の駅の出発信号機と次の駅の場内信号機の間を1閉塞区間とし、閉塞区間の入口と出口にチェックイン・チェックアウト機能を設けて閉塞区間の軌道回路を省略した方式で、駅間に1本の列車しか走らせることができません。そのため特殊自動閉塞方式は自動閉塞方式より列車本数に制約が生じますが、コストを大きく下げることができます。特殊自動閉塞はそもそも自動化が遅れていた単線地方ローカル線をコストを抑えて自動化するために開発されたものですが、九州新幹線開通により本数が減った同区間にランニングコスト低減を目的に導入されたようです。
鹿児島本線の久留米以南の区間では九州新幹線の開業により特急列車が走らなくなりました。また多くの区間はローカル線で2両のワンマン列車が基本30分から60分間隔で設定され貨物列車も少ないダイヤとなっていることから、1kmから数kmごとに信号機がある従来の複線自動閉塞方式ではオーバースペック気味の設備であると言えるかもしれません。そのためランニングコストの低減を図る目的で駅間の信号設備を一気に廃止できる特殊自動閉塞方式導入という理にかなった選択をしたものと思われます。そのことにより銀水~大牟田間の最小運転間隔は3分から4分程度に、長洲~木葉間の最小運転間隔は8分程度になりました。おそらくJR九州さんはこの特殊自動閉塞区間をさらに広げていき、また社内他線区での適用もしていくものと思われます。今後の動向に注目してみたいと思います。