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チャンネル長方形

【JR松山駅高架化特集①】駅舎のデザインはどう決まるのか

2023/11/30 四国・JR四国・愛媛県

■シンJR松山駅 西口のデザイン案はこれだ!!

チャンネル長方形では、これまでYouTubeの動画を通してJR松山駅付近連続立体交差事業の進捗についてご紹介してきました。しかし動画では細かすぎてうまく伝えられていない部分もあり少しもどかしさも感じていました。ということで、これからは動画では伝えきれていないちょっと細かくマニアックな内容をトレインユーチューバーさんのサイトを通して定期的にご紹介していこうと思います。

まず、上の画像をご覧ください。
これが現在発表されている(2023.11月現在)JR松山駅西口のデザイン案です。白黒ツートンの落ち着いたデザインなのが分かります。なぜ、この色なのか? どんな風にこのデザインになったのか? 特集初回はそんなマニアックな内容をお届けしたいと思います。

松山駅周辺デザインコンセプトの存在

■松山駅周辺デザインコンセプトの一部
再開発や再整備、都市開発というものは国や県市、場合によっては、民間を含んだ沢山の事業が複雑に絡み合っていることが多いようです。今回の松山駅高架化についてはメインとなる事業が2つあります。愛媛県の『JR松山駅付近連続立体交差事業』と松山市の『松山駅周辺土地区画整理事業』です。県の事業では主に高架化部分を、市の事業は駅周辺を受け持っています。それに、現在実現に向け進んでいるバスタ計画は松山市が主導で導入に向け動いていますが『バスタプロジェクト』自体は国土交通省つまり国の事業です。

このように複数の事業が絡んでいるものですから、駅は洋風でバスタは近未来的、駅周辺は和風になったりしてしまう可能性もある訳です。長方形としては、それぞれ味があってゴチャ混ぜでも良い気がするのですが統一性は失われます。そこで出番なのが『松山駅周辺デザインコンセプト』です。

このデザインコンセプトは松山市が用意したものですが、駅舎含むJR松山駅高架化関連の事業にはある程度このデザインコンセプトを参考にして整備が進められる模様です。

デザイン管理者の存在

■デザイン管理者の乾久美子さん
延岡駅周辺整備プロジェクトや宮島口旅客ターミナルを手掛けた建築家の乾久美子さんがデザイン管理者に選ばれました。長方形が松山駅周辺まちづくり勉強会に参加した際、オンラインで会議で乾さんのお話を聴く機会があったのですが、延岡駅も宮島口も様々な事業が絡んでいる中、統一性のあるデザインになるように心がけとのことでした。なんでも、事業者によって使う材質も違ってくるのだとか。例えば、施設によってこちらの事業者はアルミサッシを使用しているが、別の施設の事業者はスチールサッシを使っているようなことがあるそうです。建材については、もちろん各事業者の基準で選ばれるのですが、それでもなるべく合うようにしたそうです。

素案は(JR四国作成)

■松山アーバンデザインセンターから、色彩、素材などの意見出し
JR松山駅西口については、JR四国が素案を作成し、松山アーバンデザインセンターが修正を行います。

デザイン素案の修正

■こちらが修正されたバージョンです。
元のバージョンと比べるとスッキリとした印象です。
駅前の屋根もシンプルになっています。

デザイン案検を更に修正

■今度はデザイン管理者によってさらに修正が入ります。
ただ見栄えのよい駅にするのではなく、周辺の文化的背景なども考えられているのでしょう。
もともと、西口のデザインコンセプトに長屋門というのがありました。
例えば、駅舎のガラス部分を長屋門の壁に見立ているようです。

そして出来たのがこちら

■こうして、テレビのニュースや新聞でよく見るJR松山駅西口のデザインができた訳です。JR四国が出した素案時にあった駅舎前の屋根はついになくなりシンプルで開放的になりました。そして、木目調のちょっとオシャレな壁から長屋を思わせる黒と白の渋いツートーンの壁に変わりました。私がもしデザインを決める立場なら多分駅前の屋根はそのまま残したと思います。駅前の屋根にしても、あれば良いというものでもないのかもしれません。場合によっては開放感や人の出入りのしやすさが失われてしまい、逆にない方が良い場合もあるのかもしれません。

JR松山駅西口は今回の高架化で初めて設置されます。
商業的な東口と比べ、西口は住宅街と面しています。古い建物も残っているようで、そうした事情も考慮して選ばれたのがこのデザインなのでしょう。

ということで、JR松山駅高架化の少しマニアックな部分についてご紹介しましたが如何でしたでしょうか。トレインユーチューバーさんのサイトではこれからも少しマニアックな情報をお届けできればと思います。

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